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2025.08.26
デジタル空間における情報流通の諸課題への対処に関する検討会 中間取りまとめ(案)(意見募集)
デジタル空間における情報流通の諸課題への対処に関する検討会 中間取りまとめ(案)の意見募集について
総務省では6月26日、第7回の「デジタル空間における情報流通の諸課題への対処に関する検討会」を開催し、「中間とりまとめ案」を発表しました。検討会のなかに制度ワーキンググループが設けられ、侵害情報や違法・有害情報への対処が議論されました。情プラ法で明確な被害者がいる権利侵害の情報は削除となります。事業者の策定する削除指針のなかに対象の違法・有害情報が含まれていれば、事業者の判断で削除が可能です。ただ、基本的に違法・有害情報は情プラ法の対象外で、これらの情報への対策も考えられました。
違法情報では、法務省人権擁護機関や地方自治体が条例で定める審議会等の判断など「第三者からの申出」にも対応すべきとする方向性が示されました。
有害情報では、投稿禁止の必要性の議論が高まれば、個別法の改正で違法化する、との考え方も示しています。また、ネット利用者が有害情報に触れる機会を減らすため、表示方法を変更するなど、事業者のサービス運用で解決する方法も提示しました。関連して、総務省は年内に「自主規制型行動規範」を策定します。
中間とりまとめ案へのパブリックコメントが募集されました。部落解放同盟京都府連合会からは基本的に賛成の立場で意見を送りました。実態把握をすすめるための被害者支援団体等への聞き取りを実施するよう求めました。社会を分断するリスクのある差別情報への対処が重要と示し、特に7月の参院選での虚偽をまじえた差別情報を念頭に、対応を検討するべきと訴えました。
ネットは楽しみを創出する一方、差別投稿などに苦しむ人びとがいることも強調。ネットサービスには公共性があり、事業者は社会的責任の観点から積極的に責任を果たすべき、と提示しました。提出した意見は、下記の通りです。
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今回の中間とりまとめは、重要な指摘ばかりだった。賛成の立場で、主に制度WGの関係で意見したい。
「被害者支援団体等の聴取」など実態把握に努める、とあった。権利侵害や違法・有害情報に悩む様々な立場の被害者の意見を聴き、ネットでの被害を早期に回復できる仕組みを構築するべきだ。「複合差別」「現代的差別意識」「識別情報の摘示」などの課題に加え、「人権教育・啓発に関する基本計画(第二次)」の「各人権課題に対する取組」の類型なども参考に調査を実施されたい。
「「適切な」第三者」からの削除要請については、法務省人権擁護局や地方自治体の人権条例での審議会に言及があった。自治体によっては条例のないところがある。条例の有無で地域間格差が出ないよう、「何が権利侵害にあたるのか」を明確に示した自治体の申し出は認めるべきではないか。これまでの地方自治体の取り組みについても実態把握されたい。
この点、「自主規制型行動規範」の策定が目標として定められている。調査で「違法性の判断が困難」との回答をした事業所もあったようだ。「被害者支援団体等の聴取」や「「適切な」第三者」についての調査も反映した「自主規制型行動規範」とし、事業者の判断を助ける規範として策定されたい。
「各省庁が所管する個別法」において「当該情報が違法であることを明確化」「新たに違法化」との記述がある。事業者が有害情報へ適切に対応できるよう、国全体で前向きに進める必要性がある。特に、社会を分断するリスクのある差別情報への対策は重要だ。選挙の前や選挙期間で発せられる虚偽をまじえた差別情報に対して、どのような施策を講じるべきか、さらなる考察も必要である。差別情報への対策に触れるなど、安心して利用できるネット空間を構築するために踏み込んだ提言を検討されたい。
マルチステークスホルダーによる協議会は極めて重要な手段である、との記述。その通りである。対話を重ねることが重要であるため、前進させるべきだ。また、事業者も無責任ではいられない。指定以外の事業者においても経営層を中心に、社会課題解決のために取り組むべきだ。SNSなどの利用は楽しみを生む一方、その陰で権利侵害などの情報で悲しむ被害者がいる。サービスの公共性を打ち出す事業者にとって、だれもが利用しやすい場を創出する努力は、事業存続のために必要不可欠なはずだ。原点に立ち返り、情報流通の健全化の当事者として責任を果たすべきだ。事業者を後押しする提言となっているか、内容を点検されたい。